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「言いたくないんなら、いいよ。私着替えたいから、少し出ててもらってもいい??」
そう、どたばたしてて時間がなかったから、私はまだ寝巻きとして着てる浴衣のままだった。
ごにょごにょ言ってたたぁちゃんは泣きそうな顔でこっちを見る。
やばい、またやっちゃった。
言葉が足りなかったかも。
私は慌てて付け足した。
「たいして気にしてないから。
着替えてもいい??どこか行こうよ」
私の補足に、やっと安心したようにたぁちゃんは笑う。
「そっか、うん、わかった!!廊下にいるね」
「うん、すぐ着替える」
どうせ恩賀崎家にいるのは一晩二晩程度だろうと思っていたから、私は着替えをほとんど持ってきていない。
つまり、かなりのヘビーローテーションで着まわししなければならない。
服、買いに行こうかな…。
私はそんなことを考えながら、たぁちゃんが部屋を出たのを確認すると、鞄に入っている服を取り出して身に着けた。
着替えながら、思う。
そういえば、裕貴と話しているときは「あ、自分言葉が足りなかった」って思うこと、ない気がする。
なぜか、裕貴は私が口にしないで思っているだけのことも、察してくれてるみたいだから。
こうしてみると、貴重な人だ。
そんな風に裕貴の存在価値(上から目線)を心の中で確認しているうちに、着替えは終わっていた。
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