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「あやー??もう入っていい??」
襖の外からたぁちゃんに声をかけられ、私ははっとして襖を開ける。
「うん。てか、せっかくだからこのままたぁちゃんの部屋に案内するね」
「え、俺の部屋ここじゃないの??」
きょとんと首をかしげて言われ、私は慌てて言葉を返した。
「ここ、私の部屋だから」
「だから、一緒じゃないの??」
はあぁーーーー????
声に出さず、心の中で叫ぶ。
一泊二泊の旅行ならまだしも、ここには一ヶ月も滞在するのだ。
いくら付き合ってたって、一緒の部屋なんて絶対いや。
私はかぶりを振った。
「違うよ。たぁちゃんの部屋は別にあるから」
私の言葉に、たぁちゃんは口をとがらす。
「ええー、一緒がよかったのに」
人の実家で、何を考えてるんだ、この人は。
このことで議論するのがめんどくさくなった私は、これ以上たぁちゃんに文句を言わせないためにも、部屋の奥からたぁちゃんの荷物を取ってきて、部屋を出た。
たぁちゃんは若干不満そうにしながらも、しぶしぶついてくる。
たぁちゃんてこんな我侭だったっけ??
いつものたぁちゃんらしくない。
なんだかこの先の生活が思いやられて、私はばれないようにこっそりため息をついた。
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