その伍

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「あやー??もう入っていい??」 襖の外からたぁちゃんに声をかけられ、私ははっとして襖を開ける。 「うん。てか、せっかくだからこのままたぁちゃんの部屋に案内するね」 「え、俺の部屋ここじゃないの??」 きょとんと首をかしげて言われ、私は慌てて言葉を返した。 「ここ、私の部屋だから」 「だから、一緒じゃないの??」 はあぁーーーー???? 声に出さず、心の中で叫ぶ。 一泊二泊の旅行ならまだしも、ここには一ヶ月も滞在するのだ。 いくら付き合ってたって、一緒の部屋なんて絶対いや。 私はかぶりを振った。 「違うよ。たぁちゃんの部屋は別にあるから」 私の言葉に、たぁちゃんは口をとがらす。 「ええー、一緒がよかったのに」 人の実家で、何を考えてるんだ、この人は。 このことで議論するのがめんどくさくなった私は、これ以上たぁちゃんに文句を言わせないためにも、部屋の奥からたぁちゃんの荷物を取ってきて、部屋を出た。 たぁちゃんは若干不満そうにしながらも、しぶしぶついてくる。 たぁちゃんてこんな我侭だったっけ?? いつものたぁちゃんらしくない。 なんだかこの先の生活が思いやられて、私はばれないようにこっそりため息をついた。
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