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「た…探検??」
唐突な提案に聞き返す私に向かって、たぁちゃんはにかっと笑う。
「そう!!どうせ時間いっぱいあるし、間取り覚えられるし、一石二鳥じゃん!!」
まぁ…たしかに。
それに、探検中に雛子さんとかに会ったら、ついでにたぁちゃんを紹介できるし。
私はたぁちゃんの言葉に賛成することにした。
黙ってうなずくと、たぁちゃんは嬉しそうに私の手をとる。
「よし、じゃ、しゅっぱーつ」
元気よく発せられたたぁちゃんの言葉を皮切りに、私とたぁちゃんの探検がスタートした。
まずは、客間を右へ。
「とりあえずー、ご飯食べるとこと、風呂場とトイレがわかれば上々だよね」
指折り数えながら言うたぁちゃんに、私は付け足す。
「それと、ここに住んでる人たちの部屋がどこにあるかも把握したい」
たあちゃんはこっちを見て首をかしげた。
「この家に住む人って…あやとあやのおじいさんと、さっきの女の人だけじゃないの??」
「ううん」
ほんとはここで全員挙げてしまってもよかったのだけど、会って順次説明したかったから私は首を横に振るだけにしておいた。
そんな私を見て、たあちゃんは前に向き直る。
「ふうん……もしかして、朝いた男もここに住んでんの??」
朝いた男……ああ、裕貴かな??
私はたぁちゃんに再会したときの状況を思い出し、思わず赤面した。
て、いうか!!
そーいや私、あの状況の説明一切たぁちゃんにしてないし!!
私は慌ててたぁちゃんの方を向く。
「あ、あのね、あいつは、…」
あいつは…
おじいちゃんの愛人の、息子。
なんて、
恥ずかしくて言えるかーいっ!!!!
思わず口ごもる私を見て、たぁちゃんはそっけなく言った。
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