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その次の日。
母は自分の仕鬼と共に姿を消した。
神器名剣と謳われる鬼切丸と共に………。
それから10年後。
その日は母がいなくなった日のように寒く、空からは雪が降り注いでいた。
いつものように外で庭掃除をしていた私は、家の前に佇む一人の女性に目が止まった。
薄い藍色の着物を身に纏い、手には鞘に収まった日本刀がある。
私がその女性に近づくと、女性は私の顔を見て笑顔を見せる。
その笑顔には見覚えがあった。
「…………お母さん?」
「夕姫。大きくなったわね。それに、美人になった」
「なにそれ?久々に会ってそれ?それより、お母さんの仕鬼は?」
私の言葉に母は戸惑った表情を見せた。
「………最後の鬼を斬るときに…………。それよりもあなたに大事なお話があります。日本刀を祀ってある部屋で待っています」
母はそのまま振り向きもせず家の中へ入っていった。
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