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暑い・・・。いや熱い。
照りつける太陽のことではない。
舞斗のがまんは限界をこえていた。うしろでイチャイチャと効果音がつくほど抱き合っている二人の事だ。
「いい加減にしてくれないか。」
舞斗の声は普段より低くなっていた。
聞こえなかったのか、二人が離れる気配はない。トーンが少しあがった。
「いい加減にしろ!!」
二人は同時に声の主を見た。
(ようやく聞こえたのか。)
舞斗は深いため息をはいた。
キョトンとした顔で舞斗を見る蔵人と礼奈は、気付いたようだった。
自分達が船の上にいる事を。
蔵人が質問をぶつける前に、舞斗は行動した。
さっきの大声で残りの三人が目を覚ましたのだ。
「大丈夫か・・・。」
舞斗の口調は優しかった。先程のいらだちは、もうない様子で赤毛の背の低い女性が起きあがるのを見守った。
「眩しい・・・。」
寝起きで少しはねた髪をなでながら、ゆっくりまわりを見て正面の舞斗でとまった。
「ここは?」
なにもわからない。かろうじてその言葉が、のどをついて出た。
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