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「わからない・・・。」 舞斗は力なくつぶやく。 「俺は舞斗。君の名前は?」 「・・・美優(ミユウ)」 とだけ彼女は答える。 「少し待っててくれ。はなしは後でしよう。」 そう言って舞斗はすでに起きあがっている二人の元へ向かった。 「えっ・ちょっ・・・」 美優はなにか言いたそうだったが、舞斗は人差し指、一本たてただけで、その場を後にした。 二人もやはり辺りを見回していたが、近づいてきた舞斗を見て質問をぶつけてきた。 「ここは何処なんだ!?」 強い口調で舞斗の肩をゆすりながら早口で聞いてきた。 肩に置かれた手を払いのけ、逆に男性の肩をつかんで言った。 「落ち着いて下さい。あなたの名前は?」 黒いふちの眼鏡をかけ薄くなった髪を七対三に分けたサラリーマン風の男性は、力強い舞斗の手に落ちつきを取り戻したのか、ゆっくり答えた。 「一朗(イチロー)。」 舞斗は続けてもう一人に名前をたずねた。オロオロしていた、もう一人の女性はびっくりしてこっちを見る。 「紗耶(サヤ)っていうです。」
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