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その後、彼らは
日暮れまで正座して
みっちり指導を受けた。
「てめえのせいだ明人!」
「なんだと雄二、キサマぁああっ!」
二人は取っ組み合いの喧嘩をし傷だらけになった後、さらに友情が深まった。
☆
一年前、桜野学園に転校生がやってきた。
その転校生――相良康介は、名前を名乗るとすぐに黙り込み、自分の席へとついた。
その日1日、彼は静かに授業を受けていた。古典に難があるが、英語に関しては素晴らしかった。
感心した明人は、雄二と共に、英語を教えてもらうべく、話しかけた。
「相良くん、僕は白井明人。よろしく」
「俺は山上、山上雄二だ」
「そうか。もう知っているはずだが、俺は相良康介。康介と呼んでくれ」
康介は無口でポーカーフェイスだったが、クラスにもすぐに打ち解けた。
ある日、
「康介、お前の鞄、モデルガンが――」
雄二が指摘した。
「……これはモデルガンではないぞ。カンボ○アから逆輸入した本物だ」
「でぇえええっ!」
「馬鹿な……本物だと!」
明人と雄二に閃光が走る。
相良康介は、全身にあらゆる武器を装備する、ミリタリー野郎だったのだ。
「ねえ、綺羅、これ本物だってさ」
「ほ、本物!?
俺にも見せてっ」
明人が、近くの席で宿題をしていた立石綺羅に声をかける。
綺羅は美少女と間違われるほどの顔立ちをしていた。
長い睫毛が、大きな二重をさらに大きくしている。
綺麗な色の薄い唇。肌もニキビひとつない。サラサラの茶髪が顔を覆う。
本当に男か、というような細い体つきだが、これで特技が合気道だと言うから驚きだ。
「うわぁー!本物って玩具みたいに軽くないんだね」
「そうだね」
「こんな武器があれば、エリートの5組の奴らに日頃の仕返しが出来るんじゃないか」
「……問題ないぞ。学生を無力化するくらいなら、実弾を使わずともな」
康介は、親指をグッと立てて見せた。
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