プロローグ

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「まずは不良共を叩き潰す」 「わかったよ、雄二」 「ああ、了解だ」 意気込んだ雄二たちを 尻目に綺羅は、 「そう熱くならなくても、まだ春じゃないか。いきなり不良を殲滅しなくても……。 あ、おはよう舞加ちゃん!今日もかっこいいね!」 辻川舞加を見つけた綺羅は彼女に声をかける。 舞加は結構背が高く、男勝りな性格で男装しても十分かっこいい容姿だった。 「(可愛いって言ってよ!)……おはよう……き、綺羅こそ、いつも可愛いよ。男らしいとこだってあるしっ!」 顔を火照らしながら叫ぶ舞加。 それを聞いた明人が言う。 「なに言ってるんだ、辻川さん。綺羅はこんなに可愛いのに!女の子に決まってるじゃんか!」 「明人に可愛いって言われちゃった……って違う違う! 俺は男だっつの!」 頬を紅くしながら突っ込む綺羅。 舞加と綺羅は恋人同士なので、こういった会話は日常茶飯事だった。 「ったく……」 痺れを切らした雄二が怒鳴る。 「綺羅!お前の大事な舞加も、不良に襲われるかも知れないんだぞ!」 その刹那、綺羅の目つきが鋭くなった。冷たい雰囲気に急変する。 「わかってるさ……舞加ちゃんのためなら、なんだって……!」 綺羅は、急激に怒りが増したり、大切な場面の時、性格が若干変わる。 これを雄二は“黒モード”と呼んでいる。 黒綺羅はオーラが違う。 「ようしっ!いくぞ!」 雄二が叫ぶ。
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