プロローグ

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「……はあはあ、よし。ここまでやったら雄二も大満足だろ」 明人は必死に不良グループを挑発し、自慢の逃げ足で不良グループをトイレへと誘いこんだ。 当然、頭に血が昇る不良たち。顔を真っ赤にして怒鳴りちらす。 「てめえッ! いつまでも逃げてんじゃねぇぞ!」 「しばくぞゴルァッ!?」 「ぶっ殺してやろうかァ!?」 威嚇しながら明人に迫る不良たち。 「コースケ! やれっ!!!」 明人は叫ぶと同時にトイレの窓から体育館の屋根に飛び移り、トイレの窓をしっかりと閉じる。 明人が飛び移った音を聞いた康介が、超小型の散弾銃を引き抜き、 だんっ! だだんっ! 明人の叫びには返事もせず、彼はドアノブと蝶番を吹き飛ばした。 間髪いれずにドアを蹴破り、トイレの中に、スタングレネードを放り込む。 「うわ――」 バンッ!!!! 猛烈な閃光と爆音が、室内で炸裂した。 康介と綺羅はすぐさま中へ踏み込んでいく。 「そこまでだ!無駄な抵抗はやめて、おとなしく………?」 中で不良グループが全員のびていた。 立ち込める煙。ボロボロの便器。 「これじゃ、俺が戦う必要もなかったな」 綺羅が苦笑する。 「うぅ……」 倒れていたリーダー格と思しき人物が辛そうに身を起こした。 トイレに駆けつけた雄二が胸ぐらを掴んで持ち上げる。 「よっ……と。 観念しな。あんたらには、この学校を楽しくするために協力してもらう。 なーに、不良をやめて、授業をきちんと受けるだけさ」 明人たちもバカだが、不良ではない。タバコも触らないし、学校への遅刻もめったにない。
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