新春

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「あの……翼さん、ちょっとよろしいかしら?」 ん? 何だい、水月。 「先程、銀侍……さんから……あの、告白……されましたが、断って良かったのでしょうか? ちょっと悪い気がして……」 水月は優しいなあ。 喋り方とは裏腹に中々優しい心を持っていて……。 「多分半分冗談だろうな、あいつの事だから」 本気だったら逆に引く。 「冗談……だとしても少し不安ですわ……」 「大丈夫、気にするな。 水月が優し過ぎるだけだ」 そう言って水月の頭を撫でてみる。 昔よく水月の頭撫でてたなー、懐かしい。 「や……止めて下さる? 道の真ん中で頭撫でられたら流石に恥ずかしいですわ……」 「何だ、昔良く頭撫でてたのに、今となってはそれも不快か」 「い、いえ、撫でられるのは全然構わないのですが、少し恥ずかしいというか……。 翼さん、お兄様みたいですから、翼さんに頭を撫でられるのは……その……大好き……なのですが……」 ん? 後半何て言った? 「な、何でもありませんわ! それより、沙雨那さんともお話しないんですの?」 あ、ゴメン、沙雨那、完璧に忘れてたわ。 「いえ、ふふっ……まるでお兄様と水月さん、本当の兄妹みたいですね」 いやいや実の妹である沙雨那が言うかそれ。 「な、何を仰いますの!? 死んでも兄妹になりたくないですわ!」 おい待てそれ酷くないか。
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