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「……なんでファーストじゃなくて、アタシを望んだの?」
彼女は核心をつく質問を彼に投げ掛ける。
シンジも視線を上げ、リリスの頭部を見つめる。
数秒の沈黙の後に、シンジは口を開いた。
「…アスカを助けたかったんだ。量産機とアスカが戦っている時に、僕は怖くて、怖じ気づいて、言い訳をして、アスカを見捨てたんだ…。償いが出来るとは思わないけど…本当にごめん、アスカ」
一通りの話が終わったと察したアスカが口を開こうとするよりも先に彼が続けた。
「あとは…側にいて欲しかったんだ、アスカに」
その言葉に虚を突かれた彼女は、言おうとしていた言葉を呑み込んで、再びその場に仰向けになる。
「…そっか」
シンジもリリスを見詰めるのを止めてまた縮こまった。
数分間、世界が止まったようだった。
暫くして、立ち上がったアスカは小さくなった彼の背中を優しく包み込む。
そして静かに口を開く。
「背負い込まなくていいわよ。アンタだけが悪い訳ないんだから。……救ってくれてありがとう、シンジ。ずっと側にいてあげるわよ」
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