きっかけ

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意識が、浮上する。 辺りを『感じる』。  スライムには目が無いが、周りの様子を感じれる様になっており、聴覚もある。俺が『見えた』とか言ってるのは、『感じた』ということだ。  幸い、オーガやゴブリン達は起きていない様だ。 あー、三国志やりてー。 ……三国志って何だ? 知識に疑問を感じつつ、地面に平らになる。  普通のスライムは話ができない。よって、暇。 ………………………… 「……ここか?」  気が付かないうちに、目の前に銀髪の男が居た。 いや、『一瞬で』目の前に来たのか。 たぶん、上級クラスの『魔人』。  『魔人』っつーのは、魔物の中でも人型の奴らの事で、上級の魔物はだいたい『魔人』になれる。ゴブリンやオーガなんかは下級の魔人だ。肌が青いから、人間との見分けはつく。 「……そこのスライム。指揮官はどこだい?」  ……俺に聞いてきやがった。つーか普通のスライムは話せないっつーの。 『普通のスライムは話せません、まる。』 いわゆる『思念波』を男に送る。 「ははは……君は話せるじゃないか。」 『まあ、そこはノーコメントで。で、指揮官は一目で分かるこの村で一番大きな家だ。』 「……はあ、ジョークがうまいね。村じゃなくて野営地だし、家なんてテントしかないじゃないか。」 『そりゃどーも。で、何の用だい?司令官殿が直々に伝令にでも来たのかい?』 「僕の名前はアルト、ただの伝令だよ。じゃあもう行くよ、スライム君。」  『上級』魔人がただの伝令とかどんだけだよ。多分、特殊な部隊の伝令なんだろう。……こんな「ド」がつく田舎に来た理由は分からないが。 『なんじゃそりゃ。ああ、スライムじゃなくてE-4649だ。適当にヨロシクって読んでくれ。じゃあな、アルト。』  ヨロシクなんて魔物の名前としては違和感あるが、俺は結構気に入っていた。 ちなみに「E-4649」は、スライムE型の製造番号4649番って意味だ。 「わかった、ヨロシク。またな。」  アルトが去って行くのを見送る。 指揮官のテントまでは結構ある。 スライムも結構大きいし、千匹となるとかなりの長さになるからな。 ……ていうか、『またな』って何だったんだ……?  そんな事を考えつつ、命令が来るまでの時間を潰す。
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