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【Side:Alto】
しばらく、テントが見える方向に歩き続け、彼―『ヨロシク』が見えないようになってから森の中に入る。
「フフフ……『隊長』の言う通りだったな。」
自然と笑みが零れる。
隠してはいるが膨大な『魔力』。
スライムにはあるはずの無い『意思』。
「これから楽しくなるな……。」
誰に言うでもなく言葉が出る。
「また独り言?」
森の奥から艶やかな声が聞こえきた。
「しょうがないだろう?自然に声が出てしまうのだから。」
森の奥にいる『彼女』に向かって声を出す。
「はあ……その様子だと、大当りだったのかしら?」
「ああ、そうだ。もしかしたら、今までで一番の逸材かもしれない。フフフ……楽しみだな……」
「はあ、まあいいわ……戻るわよ。」
「ああ、もうなのかい?」
「用はもう済んだんでしょう?」
「そうだった。『彼』が来れるようにしなければならない。早く行こう。」
「はいはい、じゃあ行きましょう。」
『彼女』がそう言うと、周りの景色が歪み、白くなっていった。
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