113人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
上田は球審にピッチャー交代を告げ、マウンドに集まってきた内野陣の中に入る。
上田「阿部、ご苦労さん。後は任せろ」
阿部に優しく言葉を掛け、右肩にポンッと手を乗せた。
阿部「ケッ。言っちゃ悪いけど、お前の球でも抑えられねーぞ」
上田が乗せた手をどかして、阿部は小走りでベンチへ戻っていく。
そのとき阿部は唇をギュッと噛み締めて、悔し涙を必死に堪えていた。
木田「上田さん。何とかこの流れを止めて下さい!」
チームの中で一番実績のある上田に期待がかかる。
上田「やるだけやってみるさ」
上田自身、この強力打線を抑えられるか、自信がなく不安な気持ちでいっぱいだった。
その後、上田は三浦とサインの打ち合わせをして、投球練習を開始する。
安仁屋(あと残ってる投手は尾崎か。あいつではこの打線を抑えられん。上田が打たれたら俺らは終わりだ)
チーム一番のピッチャーの上田が攻略されたら、もう抑える術がないと安仁屋は考えていた。
上田(俺で抑えられれば良いんだが・・・)
投球練習が終わり、六番のフィルズが左打席へと入る。
木田(お願いします上田さん!)
バック全員の願いを乗せて、上田はセットから一球目を放つ。
最初のコメントを投稿しよう!