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ひんやりした部屋の空気。寒い冬の朝。
その日の目覚めは最悪だった…。
いつもの様に、体に絡み付くディルの手を外して体を起こす。
眠ったままのディルの顔を見て、ホッと息を吐いた。
「酷い夢…」
この世界で暮らすと決めて初めての新年。だけど、初夢がこれとは…頭を抱える。
此処は魔法使いの存在する異世界。有り得ない話ではないのかもしれない…。
だとしても!ディルとルーの顔が入れ代わるだなんて、断じて嫌だ!!!
私は、交通事故になる所を助けて貰って、この不思議な異世界に来た。
分からない事だらけの世界。
でも、ディルと一緒にいたくて。ずっと…ずーっと一緒にいたくて。この世界に残ると決めた。
私、頑張らないといけない。一緒にいられる様に…。
隣で寝るディルのサラサラの髪を撫でると、ディルの腕が私の腰に絡んで来た。私の体に顔を付けて、ギュッと力を入れる。
夢じゃないけど、ディルが猫みたいで可愛い…。
「さて、起きなきゃ…」
もう一撫でして、腰に回る腕に触る。
『…ん?』
ディルの腕が外れない…。
嘘っ!私は、もがいた。
「ディルー!離してぇー!」
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