1 謹賀新年

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ディルは起きもしないし、びくともしない。 『…困った』 そろそろルーだって起きて来る。朝食無いと怒るぞ…。 上半身起き上がっているから、だんだん体も冷えて来た。体がブルッと震える。 「寒…」 私の呟きに、ディルはピクリと反応した。 顔だけを横にずらし、何かブツブツと言い出す。 「…何?」 あ…これ、呪文だ。何度か聞いた事がある…。何だっけ??? ディルの呪文に合わせて、片手が私の体から離れた。その指を動かして…。 私は、ハッとする。 『火トカゲ召喚!!!』 部屋を暖める為に、ディルが召喚する火トカゲ。寝呆けながらするなんて! 「こんな所でやらないでー!!!」 ディルの片手が離れた事で体の自由がきいた。慌ててベッドから転がり出る。 慌てすぎて、床に体をぶつけた私。 「痛った…」 ベッドで寝ているディルは、目を閉じたまま呪文を唱えていた。動く指先が光り出している!?…ちょっ!!! 「続けてるし!」 いつも火鉢の中で火をまとっているトカゲの姿を思い出す。あのまま召喚したら、普通に床の上に落ちるよね…。 火事になっちゃう!!!
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