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ディルは起きもしないし、びくともしない。
『…困った』
そろそろルーだって起きて来る。朝食無いと怒るぞ…。
上半身起き上がっているから、だんだん体も冷えて来た。体がブルッと震える。
「寒…」
私の呟きに、ディルはピクリと反応した。
顔だけを横にずらし、何かブツブツと言い出す。
「…何?」
あ…これ、呪文だ。何度か聞いた事がある…。何だっけ???
ディルの呪文に合わせて、片手が私の体から離れた。その指を動かして…。
私は、ハッとする。
『火トカゲ召喚!!!』
部屋を暖める為に、ディルが召喚する火トカゲ。寝呆けながらするなんて!
「こんな所でやらないでー!!!」
ディルの片手が離れた事で体の自由がきいた。慌ててベッドから転がり出る。
慌てすぎて、床に体をぶつけた私。
「痛った…」
ベッドで寝ているディルは、目を閉じたまま呪文を唱えていた。動く指先が光り出している!?…ちょっ!!!
「続けてるし!」
いつも火鉢の中で火をまとっているトカゲの姿を思い出す。あのまま召喚したら、普通に床の上に落ちるよね…。
火事になっちゃう!!!
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