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女子の中では背は高い二人だが、長身の洋輔に背中を押されてる姿はかなり小柄に見える。
司書の教員は、そんな三人を見送る。
だが、彼女の中で気に入らない事があった。それは洋輔がエスコートとばかりに、背中を押す手付きが絵になっている事だ。
只の、ぐうたら生徒だと思ってたから。
「そう言えば、初めて顔を見たかも……」
司書の教員が気が付くと、あの場所で寝ていて気が付いたらいなくなっている。
それでは、顔など見れようがない。
ただ司書としては、顔が好みだったのが余計に腹立たしかった。
図書室を出た三人は手近な空き教室に入り、窓際の席を向かい合わせに組み合わせると、それぞれ席についた。
「あのさ、教師の前じゃこの話しはマズイんだわ」
「えっ、どうして? 別に生徒同士で勉強教え合うのに、何か問題でもある?」
「それが、あるんだよねぇ」
洋輔は、後頭部を右手で掻きながら悪戯な笑顔を浮かべ、少しばかり困った顔を見せる。
二人は、少なからずドキッとした。
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