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洋輔は、さも気に入らないといった顔で立ち上がると、二人の顔を交互に見てから無気力な声で言った。
「恋愛とかってされるのは、面倒なんだよな。悪いけど、そう言う娘には教えない事にしてるから。じゃあ、勉強頑張って」
それは余りに唐突で二人の女子は、引き留めるのも忘れて呆然とした。
洋輔は、風のように去っていった。
女子の二人は気付いていなかったが、腰から上は全くぶれずに無音で気配を消して歩く。
洋輔が教室から出て、廊下を教室二つ分進んだところで、女子がその状況に気付き大声を上げた。
「ちょっと、今のなに?」
「女子からあそこまで言われて、断る男ってあり得ないでしょ」
しかし、今となっては虚しい叫びであった。もちろん、洋輔にはその声は届いてなどいない。
洋輔が、こうして断る事は少なくないのだ。
今の感じならまだ立ち直れるが、洋輔は真剣な女子からの告白であっても、先程と同様に断るので三年間で数人の女子が泣かされた。
洋輔本人としては、少しの悪気も無いのだが。
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