第一章 折原流古武術

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   洋輔は、さも気に入らないといった顔で立ち上がると、二人の顔を交互に見てから無気力な声で言った。 「恋愛とかってされるのは、面倒なんだよな。悪いけど、そう言う娘には教えない事にしてるから。じゃあ、勉強頑張って」  それは余りに唐突で二人の女子は、引き留めるのも忘れて呆然とした。  洋輔は、風のように去っていった。  女子の二人は気付いていなかったが、腰から上は全くぶれずに無音で気配を消して歩く。  洋輔が教室から出て、廊下を教室二つ分進んだところで、女子がその状況に気付き大声を上げた。 「ちょっと、今のなに?」 「女子からあそこまで言われて、断る男ってあり得ないでしょ」  しかし、今となっては虚しい叫びであった。もちろん、洋輔にはその声は届いてなどいない。  洋輔が、こうして断る事は少なくないのだ。  今の感じならまだ立ち直れるが、洋輔は真剣な女子からの告白であっても、先程と同様に断るので三年間で数人の女子が泣かされた。  洋輔本人としては、少しの悪気も無いのだが。
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