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クラスメイトが洋輔の事を語る。
大概は、雲のようだとか水のようだとか無形の自然物に例えられ、最終的には「掴み所がない奴」という結論に至る。
その能力だけを見たら、クラスどころか学校一の人気者でもおかしくない。
だが、洋輔はそれを望まないのだ。
「人気者になったって、つまらないだけだ。ボクが面白いと思う事なんて、寝る事以外に世の中には無いよ」
そんな事を言った事があった。
その後しばらくの間は、陰で洋輔の事を「三年寝太郎」と、クラスメイトは呼んでいた。
「はぁ、変な時間に起こされたし、今日は帰りに爺ちゃんのとこに寄って行くかな」
既に午後の授業は始まっているが、卒業待ちの洋輔にとっては単位も足りているから、授業には出ても出なくても何ら問題は無い。
そうなれば、洋輔が学校にいる理由は無い。
「先生、帰りますね」
一応の義理を通してか、校舎に向かって正門のところから声だけかけて、意気揚々と街の中へと消えていった。
歩き方は、また気配を消した例の歩き方だった。
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