1299人が本棚に入れています
本棚に追加
その声は、明らかに幼い男の子のそれだった。
おそらくヒーロー物の特撮かアニメか何かの技を、そのままパクったであろう技の名前。
ほんの一瞬で、そこまでの判断が出来るはずもなく、正確に洋輔の顔面に飛来した木刀を避けた後に考えたのだ。
「ブレードミサイル……」
「おぉ、洋輔。よく来たな、まぁ上がれ」
聞きなれた祖父の声に、木刀から道場内に視線を移すと、いるはずのないチビッコが団体で洋輔を見ている。
折原流古武術の道場は、中学生以上しか受け入れていなかったはず。
「じいちゃん、これは?」
「あぁ、門下生が集まらなくてな。近所の奥さん連中が、子供の健康の為って無理矢理押し付けられたら、いつの間にかな」
「何だよ、そりゃ……」
祖父が、ブレードミサイルを教えたかは定かでないが、門下生が集まらなければ収入にならない。
背に腹は変えられないといった事だ。
「じいちゃん、奥の部屋借りるから」
「おぉ、昼寝か?」
「まぁね、起こさなくてもいいよ」
最初のコメントを投稿しよう!