第四章 鎌鼬の真意

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   洋輔にとって、結界の外へ足を踏み出すのに、妖の屍が無い事は何よりの救いだった。  例え悪しき妖であれ、無惨に引き裂かれた屍が無数に散らばっていたなら、死に直面しにくい現代に活きてきた身として、きっと顔を背けたかったに違いない。  まして、自分が作った罠で屍が作られたのなら。 「残ったか残らなかったかの差で、事実は大量の虐殺なんだけどな」  そう言って、結界の外へ足を踏み出す。  それを狙いすましたように、九十九神や小妖が洋輔に向かって襲い掛かったが、瞬間で塵と化していた。  淡く緑色に光を放つ、神奈がくれた衣がそれを成したのだ。  しかも鎌鼬の妖気にあてられても、体調不良にならずに真っ直ぐ立っていられた。 「凄いな、この服……」  神奈の言う通り悪しき妖気を弾く力は強く、神奈のそれは間近で弾き飛ばしたのに対し、洋輔の衣は槍の射程距離くらいで消し飛ばしている。  それが、洋輔に気持ちの余裕を与えた。それは、冷静に敵を分析する事に繋がる。 「鎌鼬と、十一体の妖……」
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