第四章 鎌鼬の真意

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   まるで、日舞でも踊るように動きを緩める。  一方、鳥の翼を有した魚の妖は反して速度を上げ、魚雷のように直線的に攻撃してくる。 「いつくる……」  魚の妖が連続攻撃を繰り出す中で、能面の妖は距離を詰めつつも攻撃を出す気配だけ匂わす。  まさに、見事な連携だった。  下手に数で攻められるより効果的で、精神的に追い詰められていく。  その時、能面の妖が動いた。  緩やかな動きから一変、右手の扇子を開いて洋輔の胴を切りつける。扇子の内側には、刃が仕込まれていた。 「くっ、槍で受けて……」  より意識を強める為、行動を口にして実際にその通りに動く。  柄から伝わる衝撃は、扇子が刃を仕込んだだけの物でなく、本体も鉄製の鉄扇であることを理解させた。 「折原を、滅する」  能面の肩口から、魚の妖が洋輔の顔面めがけて飛翔し、直前で体を翻し尾びれで目を攻撃する。  それを、体を反らしてかわす。 「よしっ、攻撃だ」 「させねえよ、折原の後継者よ」
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