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男子にしては細身の体に、長い手足からして長身であろう事が、座っている彼を見て予想はできる。
項垂れる額には、軽くウェイブした長めの前髪が垂れ下がる。
顔や表情は見てとれないものの、高校生らしくない雰囲気が漂っていた。
しかも、全く起きる気配がない。
「あの彼、今日も寝てるわね」
「いいんじゃないですか。人畜無害だし、図書室利用者からも全く苦情は出てませんし」
図書委員と図書室の司書の教師の会話も、彼には届いていなかった。
図書室側としては、利用頻度の低い美術書のコーナーで、大人しく寝ている分には問題ないと判断しているのだ。
進路が決まり、卒業を待つだけの三年生だから、そんな判断をされると思われそうだが、彼は二年生の時からそうして寝ている。
ちなみに彼はエスカレーター式で、大学に進学が決定している。
同じクラスや同じクラスになった生徒を除き、同学年で彼を知る者は少ない。
それが、下級生ともなると激減する。
「しっかし、動かないわねぇ」
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