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「先生。ここまで来ると、もはや達人の域と感じませんか?」
「彼、名前は?」
「普通科三年の折原 洋輔先輩です。確か、学年でも三本の指に入るくらいの成績で、スポーツもそこそこ出来るはずなのに、あんなんだから目立たないんですよねぇ」
「へぇ、意外。落ちこぼれかと思ってた」
司書のとは言え、教師が口にするセリフでは無いが、確かに外見的には優等生には見えない。
かといって、劣等生にも見えないが。
そこへ三年生の女子が二人、こそこそと図書室に入ってきた。そして、怪しげな動きで周囲を伺う。
「ねぇ、どこよ?」
「奥の方にいるって聞いたよ」
「図書室に入るのなんて、初めてだからどこがどうなってるのか……」
部活は引退してそうな時期、日焼けなのか色黒なのか分からないが、体育会系を連想させる女子は、明らかに場違いな雰囲気を漂わせている。
その女子が、二手に別れて何かの捜索を始める。
司書の教師は、興味をそそられ二人を観察する事にした。その動きは言葉通りで、図書室に初めて入ったようだ。
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