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本当に嬉しかった。
試合を終えチームの所へ戻ると皆が俺の所に寄って来て祝福してくれた。
先生からもありがとうって言われて泣きそうにもなった。
とにかくこれで全国大会の切符を掴んだんだ。
そして帰り支度を終えて体育館を出ようとした時後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。
幼なじみの亜美だった。
亜美『待って秀一』
秀一『おぉー亜美じゃないか。見てくれたか?俺のカッコイイ姿』
亜美『自分で言う?もちろん見てたわよ』
秀一『そうだろそうだろ。いやー小手が決まった時は感激だったなぁ』
亜美『あんたの感想は後でいくらでも聞いてあげるから帰りましょ』
秀一『おう』
二人は歩き出した。
元々秀一に剣道を勧めたのは亜美だった。
亜美の父が師範だった事もあり幼なじみだった秀一を誘い日々鍛練を積んできた。
その結果が全国大会出場ともなると喜びを抑えずにはいられ無かった。
秀一『本当に亜美の親父さんには感謝しないとな。今の俺があるのは親父さんのお陰だ』
亜美『確かにお父さんのお陰かもしれないけどここまで頑張ってきた秀一の実力だから堂々としてれば良いよ』
秀一『そうか?ならそうするよ』
話をし続けていると秀一と亜美がいつも別れる道へと来てしまった。
今日はいつもより早く着いたような気がする。
秀一『もうここか。なんか今日はあっという間だったなぁ』
亜美『ねぇ秀一』
秀一『ん?何だ?』
亜美は何かを言いたいような様子だった。
亜美『ううん。やっぱり良いわ』
秀一『何だよそれ。教えろよ』
亜美『良いの。それよりお疲れ様』
喰ってかかろうとした秀一は亜美の言葉にドキッとした。
何だろうこの気持ちは?
そんな風に思いながら
秀一『へっ、ありがとな』
亜美『それじゃまた明日ね』
秀一『おう。気をつけろよ』
亜美はとびきりの笑顔で手を振ると背中を向けて歩いていった。
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