『天才園児・こーさく君』

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‐無邪気さと残酷さは紙一重‐ なんでこうなった?俺が悪いん?つーか…俺は一体何されてるん!?!? 『なぁ、藍沢くん。さっきから何してん?新しい遊び?』 腹を滑る繊細な手つき…。 『それ流行ってんの?』 その研ぎ澄まされた感覚と技術センスは、患者に不安をも感じさせることはない。 『しっ!静かに。手元がくるう。』 『お…おん。ごめん。』 冷静かつ的確な判断力は、迅速な対応に適し…、 『おーいこうさくー!こっちで紙ヒコーキ大会しよーぜー!』 園服を泥だらけにした藤川くんがベランダ通路から顔を覗かせた。 カチャリ、プラスチック製のナイフとスプーンを置いた藍沢くんは、ふぅ…と溜め息を吐く。 『あの…藍沢くん?藤川くんが呼んでるよ?』 静かに立ち上がった藍沢くんは相変わらず無表情で感情が読めない。 なぜこうなっているのか?それは俺が聞きたい。「しゅじゅちゅの練習がしたい」と両手におままごと用のプラスチックナイフとスプーンを持った藍沢くんが俺の元にやって来たのは、つい30分も前の出来事だ。 それからは教室中央に仰向けに寝転がされて、診察という名の軽い尋問がなされた。エプロンの下に潜らせた手で腹をまさぐられ、持って来ていたプラスチックナイフで腹を切る動作を繰り返す。 『…せんせー。』 『うお!?な、何や?』 あまり抑揚のない口調は園児らしからぬ落ち着きを払っていて、不覚にもうろたえた声を出してしまった。 『おれは…めーいになる。この手で、たくさんのいのちを助けるんだ。それでおれは、いつかふじかわを直してやるんだ。』 そう宣言した藍沢くんの小さな背中には、確かに漲る野望を秘めているようで。 『藤川くんは、どこか悪いのか?』 ふるふると左右に振られる頭。 この幼稚園で働くことになってまだ幾日も経っていない俺は、園児たちについてあまり詳しくない。名前と顔を覚えることで精一杯だった。 ふいに藍沢くんがこちらを向いて、人差し指でつんつんと自分の頭を示してみせた。 『あたま…?』 『うん。あいつばかなんだ。』 あぁ、子供とは何でこうも残酷な生き物なんだろう…。 じゃあね、せんせー。と言ってベランダに向かう藍沢くんに、俺はただただ立ち尽くすしかなかった…。 ***** むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。 サイト作成に息詰まってしまったので、息抜きで書いてみました!
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