* 第1章

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「――いよいよ 最後の対決だな!」 「二人とも頑張れ~」 男子は燃えて (燃え尽きた奴もいるが) 女子は何気に 盛り上がっていた。 係り決めという、 地味な話し合いも、 乃依が絡めば 戦場のようになる。 もちろん、 俺だって譲らねぇよ。 ――なんだかんだで、 俺は最終戦まで勝ち残った。 当たり前だ。 俺は他の奴と違って、 本気で乃依が好きなんだ。 負けてたまるかよ。 「――ジャン、ケン…、」 最後の合図が始まる。 何を出そうかなんて 考えてない。 自分の手に任せる。 「――ポン!」 ………しぃん。 教室に寂しい音がなる。 「・・・・蓮だ・・」 誰かが、少しの沈黙を破る。 「・・・か、勝った!」 認識するのが遅れたが、 確かに俺は勝っていた。 「やった……!」 強くガッツポーズをしながら、 俺は全力で喜んだ。 たった一人の女子と、 同じ係りになったぐらいで。 女子達は軽く騒ぐ。 男子達は羨ましい、の 言葉が絶えない。 だけど乃依は、興味なさそうに窓から見える空を眺めていた。 ……少しムカッ。  
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