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「…何しに来たの?」
私は作業をしながら言った。
「二階の飾りつけ、
終わったから。
――俺も乃依を手伝うよ。」
「えっ、もう終わったの!?」
――だって、あまりにも
早すぎる。
思わず勢いよく
彼の方を振り向いた、その時。
「…乃依!」
「――っきゃ…!」
バランスが思い切り崩れ、
脚立がグラッと揺れた。
その弾みで私は足を滑らせ、
――冷たい床へと落とされた。
高くもなければ
低くもない距離。
目をつぶるしかなかった。
――ドサッ…
「…ぅ」
鈍く、低い声が漏れた。
その声と感触で、私は
すぐに状況を理解する。
「ちょっ…嘘でしょ…っ」
さっき来たばかりの小倉君が
私の下敷きになっていた。
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