* 第1章

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透き通った青い空を、 切なく感じるのは、心境が 関係しているのだろうか。 だとしたら、私は一生 綺麗な空を見れないかも しれない。 「おはようございます、 乃依様!」 「今日もお美しい…!」 「荷物持たせてください!」 ――始まった。 また今日も、朝から 私の周りは騒がしい。 「…近寄らないで」 そんな私の小さな声も、 あっけなくかき消される。 「乃依様、今度一緒に お食事でも――」 「いや、僕と一緒に――」 ああもう、五月蝿い。 私はいつも通り、 早歩きで玄関に向かった。  
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