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「ふふふ…君は僕のお気に入りだ…
だから君に、“不死”を与えたんだ…君はずっと僕を支えていてくれ…」
「は、ぃ…ロイド様…」
アメリアは正に恋する乙女と言って良いような感じに頬を染め上げてもじもじする。
ロイドと呼ばれた男は薄く微笑んだままアメリアの頭を撫でて、ベッドから降りて、服を着直す。
そして薄暗い部屋の中を躊躇無く歩いていく。
それは月明かりのお陰なのか…闇に目が慣れているお陰なのか…
だがそれはとても薄暗い闇の中を視覚を頼りにして歩いているようには見えない。
それはまるで“彼自体”が闇で、この闇を軽やかに纏うように彼の足取りは軽かった。
彼は部屋の扉の前に行って扉を開く。薄暗い部屋の中に廊下の明かりの光が室内に入って来て彼の姿を照らす。
漆黒の瞳に相応しい漆黒の短い髪で服装は黒いマントを身に纏い、内側に黒い服、首からは『紅き闇』のシンボルマークである紅い魔法陣に重なるように紅い竜をあしらったペンダントが揺れている。
黒で統一している中で左目の紅い瞳だけが禍々しく輝いている。
「アメリア…僕はこれからやる事が有る…良い子で待っていたらご褒美、あげるからね…」
「は、はい…良い子で、待ってます…」
自分の言う事をきちんと聞くアメリアに気分を良くしているのかにっこりと笑いながら部屋から出る。
「……ロイド様…」
彼が廊下に出た途端に紫色のローブを身に纏った栗色の髪をサイドテールにした十一、二歳のまだ幼い少女が話し掛けてくる。
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