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「けほ!けほ、んぁ…はぁ…はぁ…」
締められた細い首を抑えて噎せながら呼吸を整えて、ロイドを睨み付ける。
だが、ロイドはそんな睨み付けなど、一切気にしないで、寧ろそれを嘲笑うようにユエを見下す。
ユエはそれに奥歯を強く噛み締めて悔しさを感じる。
そんな悔しそうな表情を見て悦に入って、恍惚の笑みを浮かべている。
「ははは!良い気分だねぇ!
その表情…今度は僕の腕の中でして欲しいものだねぇ…
アハハハ!!」
ロイドは狂気満ち溢れる高笑いをして立ち去る。
そしてその後ろ姿を奥歯どころか下唇を強く噛み締めて口から一筋の血を流す。
それはユエの白い肌を伝い、床に滴り落ちる。
「……さて…次の満月まではまだ時間が有る…
それまでにあの子達はどこまで強くなれるか、楽しみだな…」
廊下を歩きながらクスクスと笑うロイド。
彼は次の満月…『紅き闇』に追われている少女、レイラ・ルネルブルグが封印した二つの代物…『龍戦記-ドラゴン・アポカリプス』と呼ばれる書物と黒焔龍バラーンズド・ゴルバルドの封印が解けるようになる日。
その二つは『紅き闇』が必要としている物。
それを手に入れる為なら手段を選んだりはしない。幾ら被害が出ようと気にしたりなんかしない。
それが『紅き闇』なのだ。
だけど、ロイドはその『紅き闇』のやり方を楽しんでいるのだ。
そして次の満月の日も楽しみで仕方無いのだ。
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