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「満月の日…僕も行こうかな?
でも、それじゃあすぐに終わっちゃうな…」
まるで新しく手に入れた玩具の使い方を考えるような子供のように無邪気さを見せながら歩くロイド。
次の満月の日は彼等にどれだけの絶望を味わって貰えるのだろうかと考えるだけでゾクゾクして身悶えしまいそうなのだ。
彼にとって他人の不幸は蜜より甘い物で、それを常に見ていたいと望んでいる。
普通の人間から見たら彼はもう狂っている領域だ。異端視されたっておかしく無いぐらいに狂っている。
だけど、そんな彼がこの『紅き闇』のリーダーなのだ。
だから誰も逆らえない…権力でも武力でも…
「せめて一人一人がうちの幹部と同じぐらいの力が有れば、悪足掻きぐらいしてくれるのになぁ…」
敵の弱さのせいか、自分の強さのせいか、ロイドはどこか詰まらなさそうに溜め息を吐く。
見た目、二十歳前後ではあるがまるで子供みたいな仕草が目立つ。
「でも…時間も有るし、それに…」
ロイドは足を止めてまた口元が裂けんばかりのあの笑顔を見せる。
「『紅き闇』の内側で鼠みたいにちょろちょろしてる連中の活動が目立って来たし…
もう少し待てば…きっと楽しい事が起きるな」
その狂気満ちる笑みを浮かべながらまた歩き出す。
深く濃い闇を抱えて…いや、彼自身が闇のように明かり付いている筈の廊下が暗く、闇に染め上げる…
「お楽しみは…待ちに待って…迎えた方が、楽しいからね…アハハハハハ!!」
廊下に彼の狂ったような笑い声が響いた…
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