05 逃がさねェ

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土方は近藤の代わりに書類作業をこなしていた。 近藤の仕事だが、実際はほとんど土方がしている。土方もそれでいいと思っている。面倒なことは全て引き受けるつもりだ。自分ができることは何でも。 近藤さんは、前を進んでくれりゃいい。 俺ができることァ全部してやる。 近藤の道を切り開けるためにいるのだ、自分は。 「副長ォォォォォ!」 叫び声がしたかと思うと戸がバンッと勢いよく開けられた。 「うっせェぞ山崎っ!」 「すみませんすみませんすみませんすみません~!!」 謝りながら山崎がうわーっと叫び土方に駆け寄ってくる。 「うわっ、んだテメー!」 「俺じゃ無理だったんですっ、止められなかったんです!」 「苦しいってんだよバカがっ!痛ぇんだっ、どっからんな力出してやがるっ」 山崎がぎゅうっと抱きついてきて、土方は声を荒げた。が、山崎はぶんぶんと首を振って力をこめていく。 「手ェ放せコラ!」 「だって副長ぶん殴ってくるからっ!」 「アホかっ!テメーはっ・・・っ!!」 ひやりと空気が鋭く刺さるように感じて、土方は息を呑んだ。 「何してんの?」 ガタガタガタガタと山崎が震え出す。戸のところには銀時が立っていた。顔は笑っているが目は凍りつきそうなほど冷たい。 「多串くんから離れろや、コラ。死ぬぞ?」 「副長!!逃げてくださいっ!」 青ざめた山崎の手はしっかりと土方の着物を掴んでいた。 「いや、逃げらんねェから、お前が必死すぎて俺を逃がしてくんねェから」 「そんなっ、俺、俺、副長のためなら死ぬのも厭わないって思ってるのにっ」 「そう思うなら手ぇ放しやがれっ」 ガツン!と土方は拳で山崎の頭を思いっきり殴る。 「わっ!!痛いっ」 「痛いじゃねェ!」 視界が陰った。バッと土方が振り返るとそこにはいつの間に距離を詰めたのか、銀時がにっこりと笑っていた。 「はーい、そこまでね。あんまイチャこかれるとムカつくからよ?」 「っ!!」 ヤバイ、と土方は咄嗟に身をかわす。 「あ、逃げられた」 やけにおちついた銀時の声に、土方は冷や汗を流した。 「土方さんっ!!」 呼ばれた土方はハッと顔を上げ、戸のところでこっちだと手招きする山崎を認める。 判断は早かった。土方は動き出す山崎と共に走り出した。    
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