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「山崎っ!ありゃどういうことだっ」
「屯所にいきなり現れやがったんですっ!副長がいるのはわかってるから出せって」
「オメーら何不審人物簡単に入れてやがるっ」
「だから俺には無理だったんですって謝ったじゃないですかっ」
「謝ってすむかァァァァァ!」
ダダダダダッと廊下を二人が駆け巡る。廊下や庭に隊士が倒れているのが土方の目の端に映った。
何なんだ、何事なんだ。
何が起こってんだ。
「・・・うわっ!」
山崎が足を滑らし、見事なくらいに廊下にこける。
「チッ!」
舌打ちをした土方が足を止め、山崎を起こすために手を差し出そうとしたところでキュ、と音を鳴らし、うまく曲がってきた銀時が現れた。
「来やがった!!」
「土方さんっ!!俺のことはいいから逃げてくださいっ」
「山崎っ」
「もういいですからっ!」
「バカ、何言って・・・」
山崎と土方が言い合っている間に銀時はすでに近くにやってきていた。廊下に滑って転んだままの山崎を見てしゃがみこむと、グ、と山崎の頭を掴む。
「土方さん?何でそんな呼び方してんの?副長じゃないの?」
「いたたたた、マジ痛いっす!」
「多串くんと随分仲良しなんだなぁ?おい」
にこにこ笑みを湛えている銀時に山崎は言葉を失った。
怖い、怖すぎる。
俺はここで死ぬのか。
ああ、山崎退、短い人生だった・・・
早くも諦めていると土方から声がかかって現実に引き戻される。
「山崎ィ!何諦めてんだコラ!!テメーそれでも真選組かっ!」
「土方さんっ!逃げてくださっ」
山崎が言葉を言い終えるまでにゴン!と大きな音が聞こえた。銀時が山崎を思いっきり廊下に叩きつけた音だ。
「山崎ィィィィ!!」
「もう逃がさねーよ」
「・・・っ!」
ヤバイ。
マジだ。
こいつ何かしんねェがマジだ。
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