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「…近い」
そう言うと、沙夜は俺から離れた。
少しだけ頬が赤い。
「照れたの?」
にやりとして聞いてみる。
「違うからっ」
「正直に言えよー」
「うるさい!」
俺は勉強することも忘れて、沙夜との会話を楽しんでいた。
…。
「わー、沙夜があんなに喋ってるっ!」
「俺もあんな沙夜ちゃん、初めて見たなー」
ん?
廊下の方から、ひそひそ声が聞こえた。
見なくても誰だか分かる。
「は~。覗きかよ、廉っ」
俺は教室のドアの微妙な隙間に向けて言った。
その言葉を聞いて、沙夜もドアを見る。
「流石将弥じゃん。よく分かったな~」
笑いながら入ってくる廉と竹村。廉は持っていた袋を机の上に置いた。
覗きをしてたことを、悪いとは全く思ってないらしい。
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