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「意外と、字きれいだね」
真面目に宿題をうつしていると
プリントを覗き込みながら沙夜が言う。
「意外はいらねーよ」
「はいはい」
こんなやりとりばっか。
仲が良いんだか、悪いんだか
って言われそうな関係を保っている。
「なあ、杏ちゃん」
「なーに?」
沙夜がドリンクを取りに行ったのを眺めていると、
廉の声が聞こえてきた。
隣にいるんだから
聞こえてくるのは当たり前だが。
「沙夜ちゃん、俺には話しかけてくることがない気がするんだけど。
…これ、気のせいかな?」
宿題をうつす手を止め、作った笑みを浮かべて
杏の返事を待つ廉。
言われてみればそうだな。
「うーん…。
大丈夫っ!廉くんにはあたしがいっぱい話しかけるから」
…。
そういう問題じゃないと思うんだけどな。
竹村ってどこかズレてる。うん。
俺と同じようなことを思っているのか、
廉は苦笑いを浮かべて
ありがとう
と言っていた。
本心じゃないだろうなー。
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