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…あの、久しぶりに学校に行った日から。
俺たちはかなり仲良くなったんだ。
「はよー」
チャイムが鳴る前に教室に入った。
「よー!今日も遅刻じゃないな」
笑顔で俺のことを見て廉は言う。
すでに席には廉も竹村も沙夜も揃っていた。
「まあなー」
得意気に言ってみせてから俺も席に座る。
隣ではいつもと変わらない姿の沙夜が、本を片手に廉と竹村の会話を聞いているようだった。
「よー、沙夜ちゃん」
茶化すように俺は沙夜に話しかける。
「…きも」
「んだよーそれ」
それから沙夜の肩をこづいた。
「ちゃん付けって…変っ!」
本を机に置いて沙夜は俺のことを見る。
その表情は笑っているような気がした。
最初は話に加わろうともしなかった沙夜。
そんな沙夜に俺は意地悪してみたり、話をいきなりふったり…。
俺はいつも沙夜のこと気にかけていた。
「よしよし。罰として昼おごれな」
さりげなく沙夜の頭の上に手を置いてなでる。
やわらかく、サラサラな髪は俺の指に絡まることなくとおる。
「えーなんで」
「なんでも」
呆れたような沙夜の声にも慣れ、俺は笑って言い返した。
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