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「仲が良いことで」
俺らのやり取りをいつから見ていたのか、廉がにやりと笑って言ってきた。
竹村も笑顔でこっちを見ている。
「そんなことないから」
冷めたようにそういう沙夜。
-キーンコーンカーンコーン-
チャイムが鳴って、授業が始まった。
すぐに沙夜は本をしまう。
パサッ
沙夜の机から何かが落ちた。
俺はそれを、何のためらいもなく拾う。
…四つ葉のクローバー?
「あっ!返して」
俺の行動を見た沙夜がすぐさまそう言ってきた。
普段は見せないような様子。
「何、これ?」
「関係ないでしょっ!」
「ふ~ん」
そう言って俺は、クローバーを返さずに見ていた。
意地悪。いつも通りにしたつもりだった。
「早くっ!」
いつもと違う沙夜の様子に、言い方に、俺は驚いた。
それからすぐに返す。
「ばか」
俺からクローバーを受け取ると、それを両手で挟んで願い事でもするかのように目を閉じた。
その状態が数秒続く。
沙夜の行動がよく分からなかった。
でも1つ。
分かったことは、俺が拾った四つ葉は沙夜にとってとても大切なものだっていうこと。
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