8人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
勝手に俺も加わっていた。
けどまあ、いっか。
机を合わせて4人、向かい合わせになる。
「中学のときの班、って感じだね沙夜!」
「うん」
楽しそうに沙夜と竹村が話しているのを見ていた。
「…はい」
椅子に座ったとき、沙夜が俺にパンを渡してきた。
「何でメロンパン?」
「好きだから」
素っ気なくそう答えられる。
沙夜が朝の約束を、きちんと覚えていたんだと思うと嬉しかった。
「ふ~ん」
沙夜の好きなものか。
今日は沙夜について分かったことが2つ。
「いらないならあたしが食べるよ」
手に持って、ぼーっとメロンパンを見ていた。
そんな俺に沙夜が、手を伸ばしてきて言う。
「いや、せっかくだから食うよ!」
沙夜からパンを取りかえす。
「あのー、先食べてていい?」
俺と沙夜に竹村が言う。
廉もにやり、と怪しい笑みを浮かべて俺らを見ていた。
「あっ!沙夜、薬」
ふと、時計を見た竹村はそう口にした。
「そーだ。ありがと」
カバンから小さな袋を取り出すと、バタバタと教室を出て行った。
「薬って?」
俺の聞きたかったことを廉が聞いた。
「何でもないよー!早く食べよっ」
わざとらしく話をそらして竹村は持参らしい弁当のふたを開けた。
「……」
気になったけどそのときは、沙夜がくれたメロンパンがいつもよりおいしく感じて。
食べ終わるころにはすっかり忘れていた。
最初のコメントを投稿しよう!