嫉妬 .

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雨が続いていた。 09月もあと二週間で終わる。 普通ならしていてもいいはずの席替え。 するな、と俺が担任に言ったからなのか、ずっとこの席が続いている。 そのおかげもあってか、俺たち4人は仲が良い。 けど…。 最近、気になってることがある。 「今日もお昼一緒しよー!」 竹村は相変わらず元気で、いつも廉のそばにいる。 竹村が廉に好意を寄せてることなんて分かりやすい。 「あれ、沙夜ちゃんは?」 1人で俺たちのところに来た竹村。 いつもそばにいる沙夜がいない。 「沙夜ならあそこー」 後ろのほうの教室のドアを指差して竹村が言う。 すぐに俺はそこに視線を向けた。 「…誰、彼奴」 ぼそっとつぶやいた。 沙夜は俺の知らない男と喋っている。 「誰?」 「松本 晴希。幼なじみなんだー」 その会話を俺は黙って聞いていた。 よーく耳を澄まして、沙夜たちの会話が聞こえてこないか、やってみた。 「~…。俺、みてらんなくて」 「晴希が庇ってあげなきゃでしょ」 「けど坂井はさ…」 と、いうような内容が聞こえてくる。 …坂井? 聞いたことある名前だった。 二年に進学したばっかの頃、やたらとしつこかった女だ。 「おーい、将弥?」 「あ?」 「杏ちゃんが話終わらせてきてくれるってさ」 と、言う言葉の通り、竹村が沙夜と松本晴希って奴のところへ向かっていた。 「ライバル出現?」 楽しそうな言い方の廉。 俺と、沙夜と話している松本晴希を見比べていた。
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