8人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
雨が続いていた。
09月もあと二週間で終わる。
普通ならしていてもいいはずの席替え。
するな、と俺が担任に言ったからなのか、ずっとこの席が続いている。
そのおかげもあってか、俺たち4人は仲が良い。
けど…。
最近、気になってることがある。
「今日もお昼一緒しよー!」
竹村は相変わらず元気で、いつも廉のそばにいる。
竹村が廉に好意を寄せてることなんて分かりやすい。
「あれ、沙夜ちゃんは?」
1人で俺たちのところに来た竹村。
いつもそばにいる沙夜がいない。
「沙夜ならあそこー」
後ろのほうの教室のドアを指差して竹村が言う。
すぐに俺はそこに視線を向けた。
「…誰、彼奴」
ぼそっとつぶやいた。
沙夜は俺の知らない男と喋っている。
「誰?」
「松本 晴希。幼なじみなんだー」
その会話を俺は黙って聞いていた。
よーく耳を澄まして、沙夜たちの会話が聞こえてこないか、やってみた。
「~…。俺、みてらんなくて」
「晴希が庇ってあげなきゃでしょ」
「けど坂井はさ…」
と、いうような内容が聞こえてくる。
…坂井?
聞いたことある名前だった。
二年に進学したばっかの頃、やたらとしつこかった女だ。
「おーい、将弥?」
「あ?」
「杏ちゃんが話終わらせてきてくれるってさ」
と、言う言葉の通り、竹村が沙夜と松本晴希って奴のところへ向かっていた。
「ライバル出現?」
楽しそうな言い方の廉。
俺と、沙夜と話している松本晴希を見比べていた。
最初のコメントを投稿しよう!