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「…はっ?」
「俺、将弥の気持ち分かってるからさー」
笑顔で廉が言う。
「俺の気持ち…?」
廉に返事をしながら沙夜たちの方を見る。
会話に出てきた、坂井ってやつの話も気になったが、一番俺が気になっているのは…。
「まぁ、いーや」
俺の様子を見て、ため息をつくようにそう言った。
「…お前こそ」
「ん?」
「気づいてんだろ」
その言葉に廉は微笑んだ。
「ご飯ー♪」
竹村が沙夜をつれて戻ってきた。
すぐに椅子に座って弁当を開いている。
行動が早い。
そんなことより俺は、沙夜と松本晴希って奴のことの方が気になっていた。
沙夜が、俺以外の男に見せる表情はどんなものなのか。
「なぁ、沙夜」
「ん?」
箸を持って弁当を食べようとしているところだった。
不意に呼ばれたからか、きょとんとした顔で俺のことを見ている。
……。
「…これ、もらう!」
自分でも何を言おうとしたのか分からなかった。
それをごまかすように沙夜の弁当に、俺は手を伸ばした。
「え、ちょっと」
最初に視界に入ってきた、卵焼きを口に運ぶ。
「おっうまい」
口に入れた卵焼きはふわふわしていて、甘すぎずしょっぱすぎず、ちょうどいい味だった。
…今まで食べた中で一番うまいかも。
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