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…ずりーよ。
普段は見せないような行動、仕草。…笑顔。
全てが多分、今は俺しか知らないこと。
いつもと違う沙夜に、俺はドキッとした。
さりげなく、沙夜のことを見る。
沙夜は笑顔で、のびをして空を眺めていた。
「…俺のこともさ」
「ん?」
沙夜が振り返る。
それだけのことなのに、さっきから俺はなんだかおかしい。
俺は…。
「名前で呼んでよ。将弥って」
素直にそう言っていた。
俺のことを見て、呼んでほしい。
「…将弥」
また、俺はドキッとしてた。
違う。
やっぱり、普段の沙夜とは違う気がする。
そして、今。
たった今、俺は分かったことがある。
廉は…このことを俺に言いたかったんだ。
「呼んだよ。返事は?」
「おう。珍しく素直に言うこと聞いたし、ここでの四つ葉探し、俺も手伝ってやるよ」
「え?」
言葉は乱暴だったが、優しく俺は沙夜の頭を撫でた。
予想もしていなかったことをされたからか、驚いた表情のまま固まって、沙夜は俺のことを見る。
そのまま、俺は沙夜に顔を近づけた。
…チュッ
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