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キス…していた。
「………っ!」
すぐさま俺は体を押し返された。
沙夜は呆然として俺を見る。
気まずい雰囲気になって、お互いに黙っていた。
沙夜は何が起きたのか分からない、というように身動き一つしない。
…俺、沙夜のこと好きなんだ。
あの…初めて出会った、目と目が合ったそのときから。
「………」
我に返ったのか沙夜は立ち上がり、俺のことも見ずにその場から去っていった。
最悪だ…俺。
沙夜の気持ちも考えずにキスなんかして。
嫌われたよな。
その前に好きだとも思われてねーよな。
あ~…。
女にキスをしてここまで後悔したのはこれが初めてだった。
こんな気持ちになったのも、誰か一人の女のことだけを考えているのも、初めてのことだった。
太陽も沈みかけ、夕暮れ。
俺は自分のしたことを後悔しながら家に帰った。
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