嫉妬 .

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…それからだった。 沙夜が学校に来なくなったのは。 「好きだったんだ、俺」 朝、廉と話していた。 ついでに授業もサボり。 「気づくのおせーよ。俺から見たらそんなんバレバレ!」 少々呆れたように廉は言う。 …そんなに俺は分かりやすかったのか? 心の中でそう呟きながらも、廉に苦笑いを返す。 「ついでに言うと、杏ちゃんも気づいてるよ(笑)」 「…はあっ?嘘だろ」 俺の驚き具合ににやっと、この前の笑みを見せる廉。 今、俺たちは屋上でサボっている。 よくありがちなパターン。 屋上は屋上でも、クローバーの咲く場所とは違うところ。 あの場所は俺と沙夜しか知らないはずの場所だ。 他の奴には絶対に教えねえ。 「…今日、沙夜いなかったよな」 「休みじゃね?」 呑気に廉はそう言う。 俺もそれにうなずいた。 そのあと話は反れ、昨日のテレビの話や、地元の奴らの話とか。 よく、ありふれた話をしながら時間が過ぎていった。
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