嫉妬 .

11/14

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
沙夜がこの日欠席したこと。 これは普通の休みとは何かが違っていた。 だが、そんなことに俺はちっとも気づかなかった。 「杏ちゃん。このあと遊び行かね?」 帰り際に廉が竹村を遊びに誘っていた。 放課後に4人で集まるのはいつものこと。 今日は沙夜がいないから必然的に3人になってしまうが。 竹村が廉の誘いを断ることは今まで、100%なかった。 買い物があるとか、バイトがあるとかいう日でも俺たちの集まりを優先させるほど。 そんな様子から俺は、竹村が廉のことを好きだって、容易に推測できた。 周りから見た奴ら誰でも、そんなことはすぐに分かりそうだが。 「…ごめんねっ! すごく…、すごく行きたいんだけど、今日は寄るところがあって!本当にごめん…」 その言い方はもの凄く悲しそうだった。 いつも明るく元気な竹村からは想像できない。 「そっかー。じゃ、また誘うよ!」 廉はいつものように笑顔でそう返す。 会話を終えると竹村は走って教室を出て行った。 「よっぽど大事な用なんだな」 そんな姿を眺めていた俺は廉にそう言う。 「だな。 じゃあ今日は、久しぶりに男2人で遊ぶとしようか」 その提案に賛成し、俺と廉は教室をあとにした。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加