嫉妬 .

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しかし、そんなことが起きたのは01日だけではなかった。 次の日も、また次の日も。 一週間、沙夜は学校を欠席していて、竹村は全ての授業が終わると急いで帰って行く。 流石に俺も廉も、何かが違うということに気がついた。 「竹村」 もう、ずっと会っていない沙夜の姿を思い浮かべながら、俺は竹村を呼び止める。 「え…、なに?」 めったに話しかけない俺に呼び止められ、驚いた様子の竹村。 隣に廉がいるのを見てすぐに笑顔を作っていたけど。 「沙夜…最近来てないだろ」 「あ~…うん。そうだね。 あ、でも大丈夫っ!そのうち来るから」 そう言った竹村は俺の目を見ようとしない。 廉のことを見ているわけでもなく、あちこちに視線をそらしていた。 …こいつ、嘘下手だな。 「そっか」 嘘だと思っても、急いでいる様子の竹村をこれ以上問い詰めるのも可哀想だと思った。 急いでいる、という証拠にさっきから時計をちらちらと見ている。 沙夜のことがすごく心配だ。 それ以上に早く会いたかった。 突然キスなんかしてしまったが、それでも会いたいと思っていた。 けれどそう思うだけで行動にはうつせない自分がいる。 「帰ろーぜ」 帰るタイミングをうかがっている様子の竹村を見てか、廉がそう言ってきた。 「わりぃ。俺、寄るとこあったわ。じゃーな」 「は?そんなこと言ってなかったじゃん。おーい」 廉の言葉を聞き流して俺は玄関とは逆方向、上へと続く階段へと向かう。
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