嫉妬 .

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………。 それは三つ葉のクローバーの葉が、半分に割けて四つ葉に見えたものだった。 「違うじゃねーかっ」 叩きつけるように摘み取ったばかりの三つ葉を投げ捨て、声を荒げる。 こんなことを繰り返していたら、とっくに太陽が沈み始めていた。 「あーっ」 立ち上がってのびをする。 …疲れた。 大して広くもないこの場所で、こんなに探しても四つ葉のクローバーは見つからないのか。 半分苛立ちながらも俺はそう思った。 沙夜はあの四つ葉、どうやって見つけたんだろ。 探している間もずっと、沙夜のことが頭から離れなかった。 自分の気持ちに気づいてから俺は、沙夜のことばかり考えている。 「帰るか」 呟いてから、勉強道具が一つも入っていない鞄を掴んで歩き出した。 帰ろうとしたとき、思い出したことがあった。 薬。 いつも決まった時間に飲みに行っていた。 今頃になって気になる。 あの薬と、今学校に来ていないのと何か、関係があるのだろうか。 …ある確率の方が高いだろう。 「………」 そんなことを考え、俺は首を横にふった。 悪い方に考えるな、俺。 大丈夫だ。 家族で旅行とか、な。 行ってるだけだよな。 漠然とした不安が頭の中を駆け巡りながらも、良い方に考えようとする。 ふと、目に留まったコンビニに入った。 いつも買っている飲み物と、それからメロンパンを手に取って俺はレジに向かった。
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