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自分にそんなことを言い聞かせて沙夜の元へ歩み寄る。
「…おはよ」
椅子に座ったのと同時に、沙夜が声をかけてきた。
「おっ、おー。おはよ」
「え、どーしたの?」
俺の返事を聞いて沙夜がくすっと笑った。
…動揺したのがバレたか。
「何でもねーよ」
「変なのー」
また、沙夜は笑っている。
何か違和感がある。
変なのは、沙夜の方だ。
「おはよ、東條」
「おはー。…て、ええ?」
沙夜が、自分から話しかけている。
当然ながら、今まであまり話しかけられたことのない廉は、驚きを隠さずに沙夜のことを二度見していた。
キス…したよな?
別に気にしてないってことか?
竹村と会話する沙夜のことをじっと見つめながら俺は考えていた。
沙夜に会えて嬉しい。…はずなのにな。
あまりうれしくない。
素直に喜べなかった。
沙夜じゃない気がして。
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