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それから、数日。
前と変わらずに沙夜は普通に登校していた。
俺とも何もなかったかのように会話していた。
俺も、違和感を抱きながらも普通に接している。
そんな中、学校では文化祭の準備が始まっていた。
文化祭なんか面倒だったが、授業が潰れて準備に入るこの一週間は楽だ。
俺のいるクラスは喫茶店をやるらしい。
ま、準備なんて俺は関わらないけどな。
今は沙夜のことが気がかりだ。
「…沙夜じゃない」
バタバタと、忙しそうに駆け回っているクラスメートや飾り付けを楽しそうにしているクラスメートを眺めながら、俺は呟く。
沙夜は知らぬ間にどこかへ行ってしまった。
竹村は…知らない。
「なんで?」
机に向かって、何かを書いている廉がそのままの状態で俺に聞き返す。
「違うんだよ、なんか」
「ふ~ん」
理由になっていない返事を聞きながら、廉は適当に相槌をうつ。
「…よし、出来たっ」
しばらくして、廉が笑顔で顔をあげて俺のことを見た。
首を傾げながら俺は廉の持っているものに視線をうつす。
「喫茶店のチラシだよ!なかなかだろ」
確かに。
廉はこういう、ポスターを描いたりするのが得意な奴だ。
見かけによらず。
「好きだな、そういうのやるの」
と、だけ返して俺は窓の外に顔をやった。
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