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そこで俺はやはり、沙夜に対して疑問を抱く。
「そうなんだよー。水野くんってばあたしに文句言うんだからっ」
竹村は沙夜の後ろに隠れてそんなことを言う。
事実とは違うことを発言する竹村に俺は言い返すことを諦め、ため息をついた。
「杏ー、仕事サボるなーっ」
「…呼ばれてるよ?」
教室の入口付近でクラスメート数人が何かの準備をしている。
廉はその方向を指差して竹村に言った。
どうやら、作業の途中に俺たちのところへ来たらしい。
「は~い。じゃ、あとでねっ!」
笑顔で手を振ると、駆け足で自分の作業をしていたところへ竹村は帰って行った。
「はぁ~」
「将弥、杏ちゃんに振り回されっぱなしだったね」
ため息をついた俺に向かって廉は楽しそうに言う。
その横で沙夜は意外そうな顔をした。
「へー。あたしも杏、見習おうかな」
そしてこんなことまで言い出す。
俺は沙夜と廉を交互に睨んだ。
「あ、いやっ!将弥が杏ちゃんに振り回されるのはどっちかというと沙夜ちゃんに原因があるわけで。それがなければ将弥は杏ちゃんに振り回されずに済むっていうか…」
長々と説明する廉の頭を俺は思いっきり叩く。
此奴は馬鹿だ。
それとも分かっていてこんなこと言ってるのか?
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